今月の栞 2014年6月 澤畑恵美先生 (声楽)

KS00078


  ステリオス・ガラトプーロス [著]
高橋早苗 訳
『マリア・カラス 聖なる怪物』
白水社 2004
   最近になって、またマリア・カラスの演奏を楽しんでいる。家の近くの温泉に行く車の中や休日の買い物には、専ら『トスカ』を聴く。トスカを歌うカラスは、当然のことながら、オーケストラも他の歌手達もスタジオ録音とは到底思えないほどの凄まじい臨場感、まるで映像を観ているようだ。特に終幕のカヴァラドッシが銃殺されてからのカラスの動揺、悲鳴!!何度聴いても鳥肌が立つ。
 さて『今月の栞』のご依頼を受け、何を紹介しようかとあれこれ考えたけれど、やはり先ずはこの本『マリア・カラス聖なる怪物』。声楽の学生たちは当然マリア・カラスを知っていると勝手に思い込んでいたが、聞いてみると意外にも知らない学生が多い。カラスのエピソードを書いた本はいくつもあるが、これは本当に面白く読みやすい。写真も沢山載っていて、後ろにはカラスの演奏記録がびっしり書かれている。
 なぜこの本を手に取ったかは忘れてしまったが、日頃それほど読書をしない私があまりに面白くて一気に読んでしまったことは、鮮明に覚えている。読み終わった後、すぐにカラスが歌うオペラのCDを用意しスコアを見ながら聴いた。何なんだこれは!? 私が見ている楽譜とカラスが見ていた楽譜は同じはず…。楽譜を読むとはこういうことなのか! 驚きと感動でいっぱいになった。すぐさまピアノの前に座りその気になって歌ってみたがカラスの様にいくはずもない(笑)。とは言え、これがきっかけとなり音符や休符を眺めてその中に何かを見つける楽しみが増した。
 学生の皆さんも是非この本を読んで、そしてマリア・カラスの演奏や映像に触れてみて欲しい。
  図書館員からひとこと