今月の栞 2013年11月 経種廉彦先生 (声楽)

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  野村兼嗣 著
『エジソン』
ポプラ社 1982
      一番初めに読んだ本の記憶・・・確か小学校三年生の時、風邪をひいて学校を休んだ日に父が買ってきてくれた「エジソン」の伝記。もう40年も昔の事だ。だがその中のいろいろなエピソードをまだ覚えている。エジソンは子供のころアヒルの卵をかえそうとずっと抱えていたこと、物が燃えるということを試すため小屋を火事にしてしまったこと、竹のフィラメントで電球を作ろうとしたことなど。僕はとてもこれらの話に共感し興味を持った。そして僕は家に有る目ざまし時計、扇風機、ラジオなどなどいくつも分解し感電もした。カエルやフナの解剖をしてみたり、懐中電灯につける豆電球を直接コンセントに差し込み爆発してしまったり、とにかくいろいろなことをやったが両親は一度も怒らなかった。そうやって育った僕は高校では理系に進んだ。そんな僕が、高校二年の夏前に声楽で東京芸大に進むと決める。親戚縁者に一人も音楽家のいない我が家系だったが、両親は好きなようにやらせてくれた。そして一年浪人するが芸大に入学。そして今がある。今はオペラに出演し、大学ではオペラや歌曲を教えているわけだが理系と音楽はとても関係が深いと僕は思っている。音楽の音程とリズムは人間の生理と物理学の融合なのだ。ちょっと話が大げさだが僕はそう思う。そして芸術家には好奇心が欠かせない。子供のような好奇心をいつまでも持ち続けることが必要だ。少年の目をしたおじさんでいたいと思う。そしてそのまま少年の目をしたおじいさんになっていきたい。

  図書館員からひとこと