今月の栞 2013年4月 大倉由紀枝先生 (声楽)

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  レンツォ・アッレーグリ 著
『音楽家が語る51の物語』(1・2巻)
フリースペース 2011
     このお話を頂いたとき、心に残る一冊、想い出の一冊、感動的な一冊、楽しい一冊、面白い一冊、ためになる一冊など、これまで読んだ本の中で、どの一冊にしようかと、迷いに迷って選んだ一冊です。
   決めた理由は、やはり名だたる指揮者・演出家・作曲家・演奏家など51人もの音楽家達と、直接のインタビューを通して、音楽との出会い、キャリアを積み重ねる努力と乗り越えた苦労など、舞台上では決して伺い知れないプライベートな話や、これまでのキャリアの中で出会った巨匠や、歴史に残る演奏家などとの共演にまつわるお話、それから、音楽に人生を捧げ、これからも音楽とともに生きるであろう自分と音楽との人生観など、現在音楽を学んでいるすべての人にとって、興味深く、偶然見つけた宝石箱を開けるようなワクワク・ドキドキ感を持って読むことが出来、何よりも経験に裏付けされた一言一言が、私の心に響いた一冊だったからです。
   私自身も、演奏家として、先生として、妻として、母として、4足の草鞋を履きながら、日々葛藤している中でこの本を読み、世界で活躍している演奏家達も、活躍のレベルの差はあれど、同じ人間として、同じように葛藤しながら、その道を極めて来たことを知り、何故かホッとしたり、マリア・カラスのように、あまりの美貌と才能故に、音楽史上に華やかな金字塔を残しながらも、運命に翻弄され、惨めな最期を迎えたプリマドンナに心を痛めたり、すでに亡くなってしまったけれど、生前に聞いた生の演奏(声)は、今でも私の脳裏と心に感動と喜びを与え、生き続けていることなど、生き様は各々違えど、音楽によって生かされている人生を誇りに思い、なんて素晴らしい職業なんだろう… と、未来に向かう新たな夢と希望を与えられました。
   今の世の中、夢を持つことが難しい時代になってきているのかもしれませんが、やっぱり一度しかない人生、夢は大きく持って、努力することが大事だということを教えてくれる大切な一冊です。

  図書館員からひとこと