今月の栞 2011年11月 宮谷尚実先生 (ドイツ語)

KS00027


  何恭上原本主編
『アートバイブル』
日本聖書協会 2003
     「むかぁ〜し、むかし、そのむかし、ずぅ〜っとむかしのことでした。いまから2000年も前のことでした。エルサレムという町にイエスさまというお方がおられました」。
 私が通っていた小学校はミッション系だったので、毎朝の礼拝で聖歌を歌い、聖書の授業も毎週ありました。昔話のように、「むかぁ〜し、むかし」でいつも始まるその授業が大好きでした。いつも先生は生き生きと聖書のお話をしてくださり、「放蕩息子」の話に出てくるレンズマメや、イエスの誕生物語で「東方の博士」が贈り物にしたという乳香の実物を見せてくださいました。右から左へと綴るヘブライ文字を生まれて初めて見た驚きも忘れません。時と場所の隔たりを超えて想像の翼がはばたくのを感じました。
 日本で生まれ育った人間がヨーロッパの文化を理解しようとするとき、キリスト教が壁となることがあります。信じるにせよ、逆らうにせよ、たとえ無関心であるにせよ、ヨーロッパ文化の根底に厳然と存在するキリスト教を無視するわけにはいかないでしょう。かつて、少数の知識層しか文字が読めなかった時代、教会は聖壇やステンドグラスなどの図像を通して聖書や聖人の物語を一般の人々にわかりやすく伝えようとしました。そう考えると、絵画は聖書の世界への早道かもしれません。今回おすすめする『アートバイブル』とその続編『アートバイブル 2』は、有名な絵画を見ながら信頼できる日本語訳聖書に親しむことのできる一冊です。ハイネの物語詩にもなったダニエル記の「ベルシャザル王」など、収録されていない話があるのは残念ですが、主要なお話はたいてい入っています。宗教だけでなく、歴史や芸術や文学や外国語の授業、あるいは皆さんが普段接している音楽と関連付けながら、この本を楽しんで読んでもらえたらと思います。


  図書館員からひとこと