今月の栞 2011年2月 高橋秀美先生 (教職科目)

KS00011

  アンネ・フランク著
『アンネの日記』 増補新訂版
文藝春秋 2003
   1991年10月、私は、オランダ・アムステルダムにあるアンネ・フランクの隠れ家を訪ねました。隠れ家のある建物は、1600年代に建てられた商家で、奥行きの深い造りになっていました。隠れ家の入口は、この建物の中の奥にあり、アンネたちが潜んでいた当時、回転本棚によって見えないようになっていました。この入口の向こうの閉ざされた空間の中で、アンネ・フランクは、1942年7月から2年余を過ごしたのです。
 帰国後、改めて読み直した時、1944年7月21日の日記に出会ったのです。その日、アンネは、ヒトラー暗殺計画を伝え聞いて、「やっとほんとうに希望が湧いてきました。」、「もしかするとこの十月には、また学校の机に向かっていられるかもしれない、そう思うと、あんまりうれしくて」と綴っています。極限状況にあったはずのアンネにとって、「希望」とは学校に行くことだったのです。
 アンネは、この日記を書いた2週間後の8月4日、ゲシュタポ(ナチ秘密警察)によって捕らえられ、翌年3月、ドイツのベルゲン・ベルゼン収容所で亡くなりました。15歳でした。ドイツが降伏したのは、その年の5月のことです。
 本書は、私にとって、学校、平和、人権などについて考えを深める契機となりました。そして20年近くが経過した今も、私が立ち返るべき書としてあるのです。
 
  図書館員からひとこと