研究紀要 50 (2015) 請求記号 = [PB102 50]

著作者 沼口 隆 ( Numaguchi Takashi )
タイトル 《エロイカ》の表紙に何が起きたのか?
( What was done to the cover page of the "Eroica"? )
ページ 41-50
本文の言語 日本語
キーワード ベートーヴェン / 交響曲 / エロイカ / フェルディナント・リース
抄録  ベートーヴェンがナポレオンへの献呈を念頭に置いて交響曲第3番《エロイカ》を作曲し、完成間近になって、ナポレオンが皇帝として戴冠したことを耳にして激怒したという話は広く知られている。この話の典拠と考えられるのはリースの『伝記的覚え書き』であるが、それ以前にも似たような話があったとの指摘がある。この指摘は、リースの信頼性に疑問符を付けるもので、新しい作品目録にも言及されているため、今後に対しても影響力が大きいと予想される。ところがリースは、さらに前にも、同じような話をしていた形跡がある。そして奇妙なことに、リースの信頼性を疑う言説と、リースの証言の起源を示唆する言説の間には、相互的な言及が欠けている。
 本論文の目的とするところは、1)リース自身の証言、2)リース証言と似た内容を持つ物語、3)リースの証言を伝える第3者の言説、の3つを整理し、相互に関連づけることにある。