研究紀要 50 (2015) 請求記号 = [PB102 50]

著作者 長谷川 悦朗 ( Hasegawa Etsuro )
タイトル オペラにおける時代設定 : ロルツィングのオペラ《ローラントの従士たち》で再現される過去
( Die Zeitbestimmung in der Oper : Die vergegenwärtigte Vergangenheit in Lortzings Oper «Rolands Knappen» )
ページ 151-157
本文の言語 日本語
キーワード 時代設定 / 現実風刺 / メルヒェンオペラ / 魔法オペラ / 再現される過去
抄録  ロルツィングが台本作家兼作曲家として完成させた14のオペラ作品群のうち、「3幕のメルヒェンオペラ」《ローラントの従士たち》(1849年初演)は、最も古い過去の時代に筋が展開するものとみなされるが、「778年頃」という時代設定は、原作であるムゼーウスによる散文物語を踏襲したものである。両作品を対比すると、女性の近代的な人物造型の相違と、結末の決定的差異のため、オペラは完全に異質な印象を残す。三人の従士は数奇な冒険の後、原作物語では再び戦役に復帰するも全員が戦死するのに対して、オペラでは全員が故郷に、そして一人は王女の身分を捨てた新妻を伴って帰還する。彼らをめぐる伝説は、ムゼーウスの物語では8世紀前後で完結するのに対して、ロルツィングのオペラでは現代までの連続性を暗示しており、オペラという時空間を駆使するジャンルとしての特性とも相まって、上演機会毎に同時代に再現される過去という劇的効果を発現するのである。