研究紀要 49 (2014) 請求記号 = [PB102 49]

著作者 古山 和男 ( FURUYAMA Kazuo )
タイトル 『ラ・ボエーム』のミミとは何者か : エリジウムの音楽の系譜
( What is Mimi in 《La Boheme》? : A Genealogy of Music for the Elysian Fields )
ページ 57-68
本文の言語 日本語
キーワード ラ・ボエーム / エリジウム / 自由の女神 / プッチーニ / ソルミゼーション
抄録  アンリ・ミュルジェールの『ボヘミアンの生活の諸場面』は単なる文士や芸術家たちの逸話ではなく、失敗した革命の事実を伝える政治的な諷刺暗号小説である。これを素材に作曲されたプッチーニとレオンカヴァッロのオペラ『ラ・ボエーム』も1848年の革命「諸国民の春」の挫折を惜しみ、革命の成果を奪ったブルジョワジーの政権を諷刺し、新たな革命による自由の獲得と社会変革を主張する作品である。この真意を伝える表現の手段は、中世以来教会と世俗の権力に抵抗し抗争を続けてきた秘密結社などの地下組織で考案され密かに伝えられてきた隠喩や象徴の活用であり、啓蒙主義時代のグルックやフランス大革命時代のモーツァルト、ナポレオン戦争前後のベートーヴェンの作品、及びそこで使われた音楽的手法の借用である。プッチーニはこの物語が伝える裏の意味を音楽的に読み解く鍵として、ヒロインに〈私はミミと呼ばれるが、その理由を知らない〉と歌わせた。