研究紀要 48 (2013) 請求記号 = [PB102 48]

著作者 長谷川 悦朗 ( HASEGAWA Etsuro )
タイトル オペラにとってメタ次元とは何か : ロルツィングのオペラ《オペラの稽古》について
( Meta-Ebene der Oper : Zu Lortzings Oper 《Opernprobe》 )
ページ 117-124
本文の言語 日本語
キーワード メタ次元 / オペラ誕生 / 仮象としての人間存在 / パロディ / 仮想現実
抄録  喜劇的な一幕もの《オペラの稽古》(1851年初演)はアルベルト・ロルツィングが台本と楽譜を完成させた最後のオペラ作品である。初演当夜に台本作家兼作曲家が死去した伝記事実と照合した場合、「稽古」段階のまま幕切れとなってしまう筋展開と相俟って、仮象としての人間存在という無常さが想起される。また、原作に相当するユンガーの喜劇『即興による喜劇』と比較対比すると、メタ次元という観点からは、単なるジャンル転換にとどまらない潜在的な問題圏にたどり着くことになる。構想されている作品世界は、1600年にギリシア悲劇を再現しようとした瞬間に誕生したオペラというジャンルに対する一種のパロディになっており、オペラ制作現場に対置された仮想現実と解釈することもできる。メタ次元の構造が多層的に枠組みを形成している、オペラについてのオペラである《オペラの稽古》は時代を超越した普遍妥当なオペラ観を体現しているのである。