音楽研究 26 (2014) 請求記号 = [PB102D 26]

著作者 小島 芙美子 ( KOJIMA Fumiko )
タイトル J.S.バッハのカンタータ作品におけるソプラノ声部とその歌唱の一考察 : 初期教会カンタータを中心として
Über die Sopranstimme und ihre Aufführung in den vokalen Werken von J. S. Bach, besonders in seinen frühen Kirchenkantaten
ページ 57-65
本文の言語 日本語
抄録  ヨハン・ゼバスティアン・バッハJohann Sebastian Bach(1685〜1750)はその65年に及ぶ生涯において、約200余曲の教会用あるいは世俗的な機会のために「カンタータ」作品を残した。宗教コンチェルトやモテットの伝統を継承しつつ、イタリア・オペラの音楽の要素を取り入れることで独自の領域を開拓したバッハは、カンタータを作曲する上で、声種あるいは声部をどのように捉え、器楽声部との編成を考えていったのであろうか。
 本研究では、17・18世紀における声種あるいは声部に関する定義を、バッハと同時代を生きた音楽理論家J.G.ヴァルターの記述を引用しながら考察し、さらに音楽表現における声種あるいは声部の役割とその象徴的意義にも言及する。とりわけ、宗教コンチェルトやモテットの伝統を色濃く残すバッハの「初期カンタータ」群の中から、カンタータ第106番 《神の時は最良の時 Gottes Zeit ist die allerbeste Zeit》 BWV106第2曲dについて、ソプラノの声種あるいは声部の特徴的な使用と歌唱について考察する。
 その結果、それぞれの声部概念はヴァルターによってすでに定義づけられおり、教会音楽における4声部の役割やキリスト教における象徴表現の影響がバッハの「初期カンタータ」作品に少なからず反映されていることが分かった。すでに膨大な数の先行研究が存在するバッハ研究の分野において、当時のソプラノ声部の持つ役割や象徴的意義からカンタータ作品を研究していくことは、新たな視点からのアプローチになると考える。